iDeCo、つみたてNISAや通常の定期積立を通じてインデックス投資をしている人は多いと思います。
が、いざ老後を迎えて資産を取り崩すとなると、どのように進めるかといった点は後回しになっている人もまた多いかと思います。何しろ、取り崩すのは大分先になる予定なのですから。
とはいえ、事前に考えておくと何かと安心なので、今回は、積立を終えてからの資産の取り崩し、いわゆる出口戦略についてお話します。
結論から言いますと、老後の備えで積立している場合、最近発表された楽天証券の新サービスが最適な選択肢です。
- 出口戦略とは、積み立てた資産を取り崩していくときの手法
- 代表的な手法は、定率取り崩し
- 定率取り崩しは何パーセントにするか
- 定率取り崩しには、楽天証券の新サービスが便利
1.出口戦略とは、積み立てた資産を取り崩していくときの手法
ここでいう出口戦略とは、積み立てた資産を取り崩していくときの手法です。
積み立てた資産には、それぞれ目的があります。例えば定年後の生活費の足しにする、といった目的です。私もその目的で積み立てています。しかし、目的に沿った資産の取り崩し方をしないと、せっかく積み立てた資産を生かしきれないままに使い切ってしまうかもしれません。
仮に、65歳で仕事を辞めて、以後は年金と個人資産で生活するとします。インフレでの物価上昇、年金の減額、医療費負担率の増加、などでだんだん厳しい生活になるかもしれません。そこで、仕事を再開するには厳しい85歳ごろに、個人資産が枯渇したら、、、かなりハードな状況ですよね。何かの本で目にしたフレーズですが、「収入がないのに長生きしすぎるリスク」が現実になるのです。
せっかく老後の備えで積立してきた資産ですから、その目的に沿って生かす手法、出口戦略の検討は有益です。
2.代表的な手法は、定率取り崩し
出口戦略に用いる手法にはいくつもの考え方がありますが、代表的な手法は、定率での取り崩しです。
定率取り崩し以外でも、「定額」取り崩しも考えられますが、基本的に「定率」に優位性があるといわれています。
一番の理由は、定額取り崩しには、ドルコスト平均法の逆パターンのデメリットがある、です。
ドルコスト平均法(定額・定期の積立)は、市場が上げ下げを繰り返していく中で、効率的に資産を増やしていく手法です。これを取り崩すにも適用すると、市場の上げ下げに応じて、効率的に資産を取り崩すことになってしまいます。上げ相場では資産を少しだけ売ってキープし、下げ相場でそのキープした資産を一気に売るのです。これが定額取り崩しに生じる現象です。
逆に、定率取り崩しなら、利回りより小さい率で取り崩す限り、元本を減らさずに済むため、資産の維持には定額取り崩しより優位です。しかし、相場に影響を受けることで、受け取る額が安定しないというデメリットもあります。
このデメリットに対しては、資産の利回りに依存しすぎないことが重要だと考えています。私は、ある程度の資産を形成したら、その資産を、死ぬ(かその寸前)までキープするつもりでいます。そうすれば、働けなくなったあとでも「少しは収入の足しがある」という安心感がずっと得られます。
年金なり就労所得なりをメインに据えつつ、「それに足しにするという認識」が重要かなと思っています。この認識を持つことが、定率取り崩しという効率的な出口戦略の実行を可能にし、老後を安定化させてくれるのです。
では、定率取り崩しがよいとして、何パーセントなら取り崩してよいのでしょうか。
3.定率取り崩しは何パーセントにするか
さらに踏み込んで、定率取り崩しの場合、何パーセントにするかという大事な問題があります。
「ウォール街のランダム・ウォーカー」では、インフレ率1%と、0.5%の余裕をみて4%としています。これは、米国株式50%と米国国債50%の平均リターンが5.5%との計算に基づいています。
これをもっとざっくりな計算に直すと、
①「現在積み立てている投信とかの利回り予想」から
②「日本のインフレ率を引いた率」
が、定額取り崩しの率、という考え方になります。
仮に①が3%とします。日本のインフレ率は、2018年:0.98%、2019年:0.99%でした。平均して、②は約1%します。そうすると、毎年2%が定率取り崩しの率となります。いかにも少ないと感じた場合は、積み立てている商品を米国S&P500に連動するインデックスファンドに変更することなどを検討したほうがよいかもしれません。
ともあれ、定率取り崩しの率が決まったら、実際にどうやって取り崩すかが問題だったのですが、つい最近、楽天証券が新サービスで対応を開始しました。(2019年12月)
4.定率取り崩しには、楽天証券の新サービスが便利
定率取り崩しには、その楽天証券の新サービス「投信定期売却サービス」が便利です。
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/info/info20191216-02.html
(楽天証券HP)
はっきり言ってイメージそのままのサービスなので、説明も必要ないほどです。なお、これまでは、定率取り崩しを行うには自分で計算して売却するか、特別なオプションが必要だった(らしい)のですが、これを自動でやってくれるのです。全くありがたいサービスですね。ちなみに、毎月0.1%から選択できますので、年率1.2%が最低ラインとなります。
【まとめ】
というわけで、インデックス投資で老後に備えている方の出口戦略には、定率取り崩しが良いと考えます。その取り崩しの実行には、楽天証券の投信定期売却サービスが最適です。
現在定期売却サービスに対応していない証券会社の多くも、いずれ対応してくるかと思いますので、このためだけに楽天証券に乗り換える必要はなさそうです。しかし、いつまでも定期取り崩しに対応できない証券会社からは離れてもよいと思います。
【補足】
水瀬ケンイチさんのHPで知ったのですが、楽天証券のこのサービスは、12月17日発表された当初、「月1%」からの対応だったそうです。これだと年率12%の取り崩ししかできないので、ちょっと困りますね。ですが、12月21日にはHPが修正され、「月0.1%」になっていたそうです。単なる間違いの可能性もありますが、ネットでの評判や競合の動きを見て、直ちに変更したのではないかとの見立てです。だとしたらすさまじい対応力ですね。